輸送のCO₂排出量 計算:トンキロ×排出原単位で1件ごとに試算(無料)
1件の輸送のCO₂排出量は、輸送重量(トン)× その区間の輸送距離(km)× 輸送モードの排出原単位(kg CO₂e/トンキロ)で求め、複数モードを使う輸送は区間ごとに計算して合計します。英国政府DESNZ 2026「Freighting goods」表ではトラクタ・トレーラーが0.07926、総重量17トン超の単車が0.17256、平均的なコンテナ船が0.01612 kg CO₂e/トンキロで、10トンを350km運ぶとトレーラーなら約277 kg、単車なら約604 kgと2.2倍の差になります。この数字は取引先のScope 3カテゴリ4の試算や比較には使えますが、省エネ法の定期報告に使う算定方法(燃料法・燃費法・改良トンキロ法)とは別物です。
出典: Department for Energy Security and Net Zero (DESNZ) · https://www.gov.uk/government/publications/greenhouse-gas-reporting-conversion-factors-2026.
公開日:
2026年7月31日 .
排出量の掛け算はサーバー側で行います。係数は出典とともに上に掲載しています。
「この貨物の輸送で、CO₂はどれだけ出ていますか」。欧州の取引先からのサプライヤー調査票、国内大手荷主からの物流CO₂の報告依頼、自社のScope 3算定——荷主の物流担当者がこの質問を受ける場面は年々増えています。求められるのはkg CO₂eで表した1つの数字です。数字を出すこと自体は難しくありません。難しいのは、重量はどこから取ったのか、距離はどう決めたのか、係数はどの表のどの行か、燃料の上流分は含むのか——と聞かれたときに答えられることです。このページでは計算式と係数を整理したうえで、その数字が省エネ法、Scope 3、ISO 14083、EUのCBAMでそれぞれどう扱われるのか、どこでは使えないのかを説明します。
輸送のCO₂排出量はどう計算する?
計算式は1行です。
輸送のCO₂排出量(kg CO₂e)= 輸送重量(トン)× その区間の輸送距離(km)× 排出原単位(kg CO₂e/トンキロ)
前の2つを掛けたものがトンキロ(t·km)、3つ目が輸送モード・車種・船種ごとの排出原単位です。トラック、船、トラックとつながる輸送は区間ごとにそれぞれの係数で計算し、最後に合計します。1つの係数で全区間を計算してしまうのが、いちばん多い間違いです。
例:10トンの貨物を名古屋から東京まで350km、トラックで運ぶ場合。10 × 350 = 3,500トンキロです。DESNZ 2026のトラクタ・トレーラー(連結車、非冷凍、平均積載)の0.07926を掛けると約277 kg、総重量17トン超の単車(非冷凍、平均積載)の0.17256を掛けると約604 kgになります。同じ荷物、同じ距離で2.2倍。差は測定誤差ではなく、どの行を選んだかの差です。だから排出量の数字は、係数の発行元・年版・表名・算定範囲(TTWかWTWか)と一緒に示さなければ意味を持ちません。
なお、このツールが持っている単車の行は「単車・全サイズ平均」(0.19947)だけです。文章に「10トン車」と書くと単車として扱われる可能性が高く、その場合は約698 kgと、17トン超の単車の行より約16%高く出ます。
省エネ法の「トンキロ法」とは何が違う?
省エネ法の「トンキロ法」とは何が違う? — 省エネ法の告示(平成18年経済産業省告示第66号)は、荷主が貨物輸送事業者に行わせる輸送のエネルギー使用量の算定方法として、燃料法、燃費法、トンキロ法の3つを定めています。資源エネルギー庁は、トラックに使うトンキロ法を「改良トンキロ法」、鉄道・船舶・航空機に使うものを「従来トンキロ法」と呼び分けています。
燃料法 — 使うデータ: 実際に使った燃料の量 | 主な用途: 省エネ法の荷主報告(最も精度が高い)
燃費法 — 使うデータ: 輸送距離と燃費 | 主な用途: 省エネ法の荷主報告
改良トンキロ法(トラック) — 使うデータ: 輸送トンキロ × 最大積載量と積載率から数式で求める燃料使用原単位 | 主な用途: 省エネ法の荷主報告(積載率の違いを反映できる)
従来トンキロ法(鉄道・船舶・航空機) — 使うデータ: 輸送トンキロ × 告示の別表第4に定める輸送機関別エネルギー使用原単位 | 主な用途: 省エネ法の荷主報告
このツール — 使うデータ: 輸送トンキロ × DESNZ 2026の排出原単位(kg CO₂e/トンキロ、平均積載) | 主な用途: 取引先への回答、Scope 3の概算、輸送手段の比較
このツールは見た目こそトンキロ法に似ていますが、別物です。改良トンキロ法はトラックの最大積載量と積載率から燃料使用原単位を求めるので、積載率の違いが結果に表れます。このツールは英国の車両統計から作られた「平均積載」の係数を使うため、積載率は反映されません。省エネ法の定期報告には、同法の方法で算定した数字を使ってください。
係数そのものも国によって違います。経済産業省・国土交通省の「ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法 共同ガイドライン Ver.3.2」(令和5年6月)が示す従来トンキロ法の原単位は、鉄道22、内航船舶39、国内航空1,490 g-CO₂/トンキロです。DESNZの鉄道貨物は25.83 g(0.02583 kg)で、同じ「鉄道」でも英国の平均と日本の平均は一致しません。国内輸送の数字には国内の係数を、海外区間にはDESNZやGLECのような国際的に参照される係数を——どの表を使ったかを必ず書き添えたうえで——使い分けるのが筋です。
物流のCO₂について、荷主にはどんな義務がある?
物流のCO₂について、荷主にはどんな義務がある? — 荷主には複数の法律から別々の義務がかかっています。基準の単位がトンキロと重量で異なる点に注意してください。
すべての荷主:省エネ法第110条の努力義務。貨物輸送事業者に行わせる輸送のエネルギー使用の合理化と非化石エネルギーへの転換に努めることが求められ、資源エネルギー庁の手引き(荷主編)は、エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減する努力を求めています。
特定荷主(省エネ法):年間の輸送量が3,000万トンキロ以上(施行令第12条)。毎年度4月末までに輸送量の届出、6月末までに中長期計画書と定期報告書を提出します。定期報告にはCO₂排出量も含まれます。
温対法の報告:特定荷主の輸送に伴うCO₂は、省エネ法の定期報告をもって温対法の報告とみなされます(温対法第34条)。別途の報告は要りません。
特定荷主(物流効率化法):2026年4月から、取扱貨物の重量が9万トン以上の荷主が指定され、物流統括管理者(CLO)の選任、中長期計画の作成、定期報告が義務になりました。こちらの狙いはトラックドライバーの荷待ち・荷役時間の削減や積載効率の向上で、CO₂の報告制度ではありません。省エネ法の3,000万トンキロとは別の基準です。
罰則:資源エネルギー庁によれば、省エネ法の特定荷主が計画の提出や定期報告をしない場合は50万円以下の罰金、取り組みが著しく不十分な場合は勧告・公表・命令を経て100万円以下の罰金の対象になります。
トンキロは何を測っているのか?
トンキロは何を測っているのか? — 1トンの貨物を1km運ぶと1トンキロ。DESNZの表の注記にある例のとおり、2トンを2km運べば4トンキロです。ここから2つのことが言えます。
トンキロは車両キロではない — 車両キロ当たりの係数は、何を積んでいても車両全体にかかります。トンキロ当たりの係数は貨物そのものにかかります。同じ輸送に両方を使うと二重計上になります。
トンキロ係数は推計値 — DESNZは、トンキロ係数は英国の車両統計と一定の仮定から車両キロ係数をもとに導いたもので、トラック・鉄道・船など輸送モードを比べるのに向いている、と説明しています。自社車両の実績を測るためのものではありません。
輸送モードごとの排出原単位は?(DESNZ 2026、TTW)
輸送モードごとの排出原単位は?(DESNZ 2026、TTW) — 英国政府 DESNZ 2026年版 温室効果ガス換算係数の「Freighting goods」表から抜き出した値です。単位は kg CO₂e/トンキロ、平均積載率ベース。
ばら積み船、平均 — kg CO₂e/トンキロ: 0.00353
コンテナ船、8,000 TEU以上 — kg CO₂e/トンキロ: 0.01266
コンテナ船、平均 — kg CO₂e/トンキロ: 0.01612
鉄道貨物 — kg CO₂e/トンキロ: 0.02583
コンテナ船、0〜999 TEU — kg CO₂e/トンキロ: 0.03675
RoRo船(フェリー型)、平均 — kg CO₂e/トンキロ: 0.05158
トラクタ・トレーラー、非冷凍 — kg CO₂e/トンキロ: 0.07926
トラクタ・トレーラー、冷凍 — kg CO₂e/トンキロ: 0.09166
大型トラック全車種平均、非冷凍 — kg CO₂e/トンキロ: 0.10356
単車、総重量17トン超、非冷凍 — kg CO₂e/トンキロ: 0.17256
単車、全サイズ平均、非冷凍 — kg CO₂e/トンキロ: 0.19947
大型旅客フェリー(RoPax)、平均 — kg CO₂e/トンキロ: 0.37612
3.5トン以下のバン、軽油、平均 — kg CO₂e/トンキロ: 0.63511
航空貨物、長距離・国際(放射強制力を含む) — kg CO₂e/トンキロ: 0.89939
航空貨物、短距離(放射強制力を含む) — kg CO₂e/トンキロ: 1.27835
数字を覚える必要はありませんが、桁の違いは押さえておく価値があります。1万トンキロ当たりで、ばら積み船は約35 kg、平均的なコンテナ船は約161 kg、鉄道は約258 kg、トラクタ・トレーラーは約793 kg、単車(全サイズ平均)は約1,995 kg、大型旅客フェリーは約3,761 kg、長距離航空は約8,994 kgです。
航空の行は放射強制力(RF)を含む値です。DESNZはRFを含まない値も公表しており、長距離・国際は0.53130で、含む・含まないで約69%違います。両者を同じ合計に足してはいけません。
モーダルシフトの効果を示すとき、どこでつまずく?
モーダルシフトの効果を示すとき、どこでつまずく? — トラックから鉄道や船への転換は、CO₂削減の説明でいちばんよく使われる材料です。DESNZ 2026の値で比べると、「船」の中身しだいで結論が逆転します。
コンテナ船、平均:0.01612
鉄道貨物:0.02583(トラクタ・トレーラーの約3分の1)
RoRo船、平均:0.05158(コンテナ船の約3.2倍、トラクタ・トレーラーの約3分の2)
大型旅客フェリー(RoPax)、平均:0.37612(コンテナ船の約23.3倍、RoRo船の7.3倍、トラクタ・トレーラーの約4.7倍)
差が生まれる理由は密度です。コンテナ船は貨物1トン当たりの空きスペースがほとんどありません。RoRo船はトラクタやトレーラー、その間の空気まで運びます。旅客も乗せるフェリーは乗客と、その快適さのためのエネルギーまで運び、それが貨物のトンキロにも配分されます。
ここで2つの注意点があります。第一に、DESNZのRoPaxの値は英国の統計にもとづく平均であり、日本の長距離フェリーの実績値ではありません。第二に、このツールにはRoPaxの行がありません。旅客も乗せるフェリーの区間は平均的なRoRo船の係数で計算され、DESNZのRoPaxの値と比べると約7分の1に小さく出ます。国内航路へのモーダルシフトの効果を社外に示すなら、運航会社の実績データか、国内のガイドラインの原単位を使ってください。このツールの結果は、区間の分け方やトンキロの規模感をつかむためのものと考えるのが安全です。
20トンを海上1,000km運ぶ(2万トンキロ)と、コンテナ船平均で322 kg、RoRo船平均で1,032 kg、大型旅客フェリー平均で7,522 kgです。同じ距離、同じ荷物で7トン以上の差になります。
TTWとWTW、どちらを求められている? 差はどれくらい?
TTWとWTW、どちらを求められている? 差はどれくらい? — TTW(Tank-to-Wheel)は車両や船で燃料を燃やしたときの排出だけ、WTW(Well-to-Wheel)はそれに燃料の採掘・精製・輸送という上流分(WTT)を加えたものです。DESNZは2つを別の表で公表しています。「Freighting goods」がTTW、「WTT- delivery vehs & freight」が上流分だけで、足し合わせるのは利用者の仕事です。
トラクタ・トレーラー、非冷凍 — TTW: 0.07926 | WTT: 0.01823 | WTW: 0.09749 | WTTの割合: +23.0%
大型トラック全車種平均 — TTW: 0.10356 | WTT: 0.02359 | WTW: 0.12715 | WTTの割合: +22.8%
鉄道貨物 — TTW: 0.02583 | WTT: 0.00691 | WTW: 0.03274 | WTTの割合: +26.8%
コンテナ船、平均 — TTW: 0.01612 | WTT: 0.00365 | WTW: 0.01977 | WTTの割合: +22.6%
RoRo船、平均 — TTW: 0.05158 | WTT: 0.01170 | WTW: 0.06328 | WTTの割合: +22.7%
軽油を使う輸送では、上流分がTTWにおよそ4分の1上乗せされると考えてください。輸送チェーンの排出量算定の国際規格ISO 14083:2023と、その実務ガイドであるGLEC Framework(Smart Freight Centre発行、現行は2025年10月の第3.2版)はWTWで報告します。欧州の取引先が「ISO 14083/GLECに準拠して」と書いてきた場合、TTWの数字だけでは足りません。2社の見積もりの一方がTTW、もう一方がWTWなら、低く見える方は算定範囲を狭くとっているだけかもしれません。
入札仕様書の確認ポイントも1つ。欧州規格 EN 16258:2012 は2023年5月2日に EN ISO 14083:2023 に置き換えられ、廃止されています。いまだに EN 16258 を求める仕様書は、廃止された規格を引用していることになります。
Scope 3のカテゴリ4か9か——日本のガイドラインではどうなる?
Scope 3のカテゴリ4か9か——日本のガイドラインではどうなる? — GHGプロトコルのScope 3基準では、貨物輸送の排出は主に2つのカテゴリに入り、どちらになるかは誰が輸送サービスを購入したかで決まります。
カテゴリ4「輸送、配送(上流)」 — 報告企業がその年度に購入した輸送・配送サービス。調達物流、自社が費用を負担した出荷物流(販売した製品の輸送など)、自社拠点間の第三者による輸送、そして1次サプライヤーから自社に届く購入品の輸送が含まれます。
カテゴリ9「輸送、配送(下流)」 — 販売した製品が自社を出た後、最終消費者に届くまでの輸送・配送のうち、自社が費用を負担していないもの(小売・保管を含む)。
環境省・経済産業省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.8)」(2026年3月)は、この線引きを日本の実務に合わせて説明しています。カテゴリ4には、自社が費用負担している物流(自社拠点間の横持ちや出荷側の物流)が含まれ、「我が国の商慣行では届け先までの物流を発荷主が費用負担して発注していることが多いため、下流側も多くの場合は本カテゴリに含まれます」とされています。省エネ法の特定荷主として算定している輸送のCO₂も、カテゴリ4か9のどちらかに含まれます。
同ガイドラインは、国内輸送のカテゴリ4については特定荷主の算定方法(燃料法・燃費法・トンキロ法)を当てはめるよう示し、データがない場合の既定のシナリオとして「10トントラックで500km片道輸送、積載率50%」を挙げています。排出原単位が必要なら、環境省の「排出原単位データベース」(2026年4月公開のVer.3.6)があります。
輸出入では、線引きはほぼインコタームズの線引きと同じです。FOBやEXWなら主運送は買い手が手配して費用を払うので、その海上輸送は(報告するなら)輸出者のカテゴリ9、CIF・CFR・DAP・DDPなら輸出者が購入したサービスとしてカテゴリ4に入ります。欧州の買い手にとっては、1次サプライヤーから自社までの輸送は、運賃を誰が払ったかにかかわらずカテゴリ4です。条件ごとの費用負担と危険の移転はインコタームズ2020 一覧表で確認できます。
算定方法として、GHGプロトコルは運送会社から得る実際の燃料・電力使用量を使う燃料法、トンキロに係数を掛ける距離法、運賃額に係数を掛ける支出法を挙げ、この順に精度が高いとしています。このツールは距離法です。
インコタームズ2020 一覧表
SSBJ基準でScope 3開示が始まると、荷主に何が届く?
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は2025年3月5日に基準を公表し、2026年3月13日に改正しました。気候関連開示基準はScope 3の温室効果ガス排出の開示を求め、GHGプロトコルのカテゴリ別の内訳(「上流の輸送及び流通」を含む)の開示も求めています。適用初年度に限り、Scope 3を開示しないことができる経過措置があります。
金融庁が2026年2月20日に公表した内閣府令により、プライム市場上場会社のうち平均時価総額3兆円以上の会社は2027年3月期から、1兆円以上の会社は2028年3月期から、有価証券報告書でSSBJ基準による開示が義務になります。こうした大手荷主がScope 3を集計するとき、物流会社や仕入先に輸送の排出量を問い合わせることになります。調査票に答える側が、算定の前提(係数の出典、TTWかWTWか、距離の取り方)を説明できるかどうかが問われます。
国際規格との関係では、輸送チェーンの算定規格ISO 14083は2026年10月時点でJISになっていません(日本産業標準調査会のJIS検索で該当なし)。欧州の取引先がISO 14083やGLECを指定してきた場合は、国際規格をそのまま参照することになります。
欧州向け輸出:CBAMに輸送の排出は入る?
入りません。EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)は2026年1月1日から本格適用に入り、EUに輸入されるセメント、鉄鋼、アルミニウム、肥料、電力、水素を対象にしています。申告する「内包排出量」は、その製品をEU域内で生産したならEU排出量取引制度でカバーされたはずの排出、つまり生産工程の排出です。欧州委員会が2026年8月14日に公表したCBAMガイダンス文書第3号は、拠点間の原材料輸送の排出とそれより上流の工程の排出は含まれないと明記しており、対照表でも購入した原材料の輸送(Scope 3カテゴリ4)を「対象外」としています。
ですから、鉄鋼製品やアルミ部品、ボルト・ナット類を欧州に輸出していて、輸入者からCBAMのためのデータを求められたら、必要なのは工場単位の監視データ(設備・生産工程ごとの排出)で、このページのトンキロの数字ではありません。同じ取引先がCBAMデータとは別に、サプライヤー調査票で輸送の排出量を聞いてくることはよくあります。トンキロ計算が役に立つのは後者です。
CBAMの日程も簡素化で変わりました。規則(EU)2025/2083(2025年10月17日官報掲載)で、輸入者ごとに年間正味重量50トンの適用除外基準(鉄鋼・アルミニウム・肥料・セメントの合計)が設けられ、2026年分の輸入をカバーする最初の年次CBAM申告の期限は2027年9月30日、CBAM証書の販売は2027年2月1日に共通中央プラットフォームで始まります。義務を負うのはEU側の申告者で、日本の輸出者の役割は生産データの提供です。
積載率・空車回送・距離・冷凍:数字を狂わせる4つの要因
積載率 — トンキロ係数は固定値に見えて、中に積載率の前提を含んでいます。同じ車両(総重量33トン超のトラクタ・トレーラー、非冷凍)でも、DESNZでは積載率50%で0.09678、100%で0.06030 kg CO₂e/トンキロ。半分しか積んでいない車両の1トンは、満載時より約60%多く排出します。運送会社にとって最大のレバーはエンジンではなく積載率です。
空車回送 — GHGプロトコルの技術ガイダンスは、空車での帰り便を任意の算定項目とし、別の計算式を示しています。逆の落とし穴の方が大きく、「平均積載」のトンキロ係数は国の車両統計から作られているため、平均的な空車走行がすでに織り込まれています。そこへ空車回送の区間を足すと二重計上です。空車走行を見えるようにしたいなら、トンキロに足すのではなく、車両キロや燃料のデータに切り替えます。
直線距離 — 大圏距離(直線)は規格の中で正当な役割を持っています。共用車両の実測排出を複数の貨物に配分するための基準としてです。総量を出す距離として使うと、道路輸送は過小になります。トラックは道路網や地形に沿って走り、海上は海峡や運河を回ります。優先順位は、実際の運行記録 → ルート検索による実道路距離 → 大圏距離に補正係数を掛けて「推計」と明記、の順です。
冷凍・冷蔵 — 冷凍のトラクタ・トレーラーは非冷凍より15.6%高く(0.09166対0.07926)、冷媒の漏えいはこの数字に含まれません。GHGプロトコルは冷媒漏えいを別に算定することを求めています。
既定の係数で足りるのはどんなとき?
公表された表の係数は、GHGプロトコルの用語でいう二次データ、つまり業界平均であって、あなたの輸送そのものではありません。一次データは、実際に使った燃料、実際に走ったキロ数といった、バリューチェーン上の特定の活動のデータです。GLEC Frameworkのデータの優先順位も同じ方向で、個別輸送の実測値、次に運送会社や車両群の平均値、最後に業界の既定値です。
既定の係数は、どの路線の排出が大きいかの洗い出し、モーダルシフトを検討する価値があるかの判断、2つの見積もりの比較、小口貨物が多い場合のScope 3の概算には十分です。一方、その数字で自社の取り組みの成果を語ろうとした途端に弱くなります。前年比の削減、請求書の炭素サーチャージ、対外的な広告表示、第三者保証の対象となる数字などです。平均係数は国の統計が変わらない限り動かないので、原理的に「自社が改善した」ことを示せません。
報告を出す前に確認してください。係数の発行元・年版・表名は書いたか(「英国の係数」だけでは出典になりません)。すべての数字に算定範囲(TTWかWTWか)を付けたか。航空の行はRFを含むか、含む数字と含まない数字を合計に混ぜていないか。係数は最新版か。DESNZ 2026年版は2026年6月11日に初公表、7月31日に更新され、次の版は2027年6月の予定と表に記載されています。
このツールがすること・しないこと
輸送の内容を自分の言葉で書いてください(例:「機械部品8トンを名古屋から東京港まで大型トラックで運び、東京港からロッテルダムまでコンテナ船で輸送」)。言語モデルが行うのは文章から輸送を読み取ることだけです。区間、輸送モード、距離、重量を取り出します。掛け算はサーバーが行います。言語モデルの暗算に頼った排出量は、どの出典にもさかのぼれないからです。結果の各行には使った係数、その名称と出典が付き、係数表の全体はこのページの下に載せています。結果の要約と前提条件は、このページの言語で表示されます。
結果を使う前に知っておいてほしい限界:
算定範囲はTTW。燃料の上流分(WTT)と、ターミナルや港湾での荷役は含みません。
重量がなければ数字は出ません。重量を作り出すことはせず、不足項目として示します。
距離が書かれていなければモデルが推計し、その行に推計値と明示します。ルート検索による測定ではありません。
輸送モードが書かれていなければ推定し、同じく行ごとに明示します。判別できないモードは大型トラック全車種平均で計算し、その旨を示します。
空車回送は計算せず、実際の積載率も測りません。DESNZの「平均積載」の値を使います。
ISO 14083に適合した算定ではありません。規格の輸送オペレーション区分(TOC)・ハブオペレーション区分(HOC)の構造、一次データの優先順位、検証の要件は実装しておらず、保証報告の代わりにもなりません。
省エネ法の定期報告には使えません。同法が定める燃料法・燃費法・改良トンキロ法による算定ではないためです。
航空の係数は放射強制力を含み、含まない数字とは足し合わせられません。
アカウントなしで試せます。無料で実行できる回数には限りがあり、LogistivoのすべてのAIツールで共通の枠です。残り回数はボタンの横に表示されます。数えるのは結果が返った実行だけで、受け付けられなかった・失敗したリクエストは回数を使いません。使い切ったら、無料アカウントを作れば続けられます。
Logistivoは製品の中でどう計算しているか——そして何をしないか
このページの公開ツールと、Logistivoの製品内の計算は、同じ係数表を読んでいます。同じ種類の輸送なら、Logistivoのどこで計算しても同じ排出量になります。
Logistivoでは、CO₂ウィンドウが貨物画面の中にあり、その貨物の登録データで計算します。重量は貨物の登録値、起点は最初の積地、終点は最後の着地の住所で、距離はルート検索サービスから取ります(道路ルートが求まらないときは直線距離になります)。貨物にRoRo航路が紐づいていれば、積地から出港地までの道路、港から港までの海上(航路自体の座標を使用)、到着港から着地までの道路の3区間に分け、それぞれの係数で計算します。製品内の計算が対象とするのは、いまのところ道路とRoRoだけです。
PDFレポートは必要なときにだけ作成し、1件につき1クレジットを使います。作成したレポートは自社のレポート一覧に保存され、一覧はExcelに書き出せます。保存時には使った係数がその行に記録されるので、係数表が更新されても過去のレポートがさかのぼって書き換わることはありません。Logistivoがカーボンレポートを自動で作ることはなく、どの貨物を報告対象にするかを決めることもありません。貨物の流れ全体はLogistivoの貨物管理から、荷主向けの機能は荷主向けLogistivoから確認できます。
しないことも明確にしておきます。タコグラフ(.ddd)データは読み込まず、車載テレマティクス機器もありません。位置情報はドライバーのスマートフォンからだけです。したがってGHGプロトコルの燃料法は製品に実装されておらず、計算は常に距離ベースです。保証・検証サービスも提供していません。
Logistivoの貨物管理 · 荷主向けLogistivo
このツールにできないこと
このツールにできないこと — 以下の限界は結果の取扱説明書です。現時点の製品について成り立つものです。
算定範囲はTTW:燃料の上流分(WTT)とターミナル・港湾での荷役は含まない。
文章に重量がなければ排出量は出さない——重量は作らず、不足項目として返す。
距離が書かれていなければモデルが推計し、推計と表示する。ルート検索の測定ではない。
輸送モードが書かれていなければ推定して表示する。判別できないモードは大型トラック全車種平均で計算する。
空車回送は計算せず、実際の積載率も測らない。
ISO 14083の要件を満たす算定ではなく、保証・検証報告の代わりにはならない。
省エネ法の定期報告やCBAM申告に使う数字ではない。
航空の係数は放射強制力を含み、含まない数字と足し合わせられない。
モードは12種類で、大型旅客フェリー(RoPax)、TEU規模別のコンテナ船、自動車専用船の行はない。RoPaxの区間は平均的なRoRo船の係数で計算されるため、約7分の1に過小評価される。
輸送を文章で書くだけで、トンキロとCO₂eを算出
貨物の輸送を自分の言葉で書いてください。どこからどこへ、何トンを、どの輸送手段で運ぶのか。文章から区間を読み取り、「距離 × 重量 × 排出係数」の掛け算はサーバー側で行い、使った係数を出典とともに表示します。
輸送内容を入力
例:機械部品8トンを名古屋から東京港まで大型トラックで運び、東京港からロッテルダムまでコンテナ船で輸送。
UK Government GHG Conversion Factors for Company Reporting 2026 — Freighting goods
トレーラー(トラクタ+セミトレーラー)、冷蔵なし (HGV, articulated, non-refrigerated, average laden) — 0.07926 kg CO2e / tonne.km
トレーラー(トラクタ+セミトレーラー)、冷蔵 (HGV, articulated, refrigerated, average laden) — 0.09166 kg CO2e / tonne.km
単車トラック、冷蔵なし (HGV, rigid, non-refrigerated, average laden) — 0.19947 kg CO2e / tonne.km
大型トラック、全車種平均 (HGV, all types, non-refrigerated, average laden) — 0.10356 kg CO2e / tonne.km
バン(3.5トン以下、ディーゼル) (Van up to 3.5 t, diesel, average) — 0.63511 kg CO2e / tonne.km
鉄道貨物列車 (Rail, freight train) — 0.02583 kg CO2e / tonne.km
コンテナ船 (Container ship, average) — 0.01612 kg CO2e / tonne.km
RoRo船(フェリー) (RoRo ferry, average) — 0.05158 kg CO2e / tonne.km
一般貨物船 (General cargo ship, average) — 0.01321 kg CO2e / tonne.km
ばら積み船 (Bulk carrier, average) — 0.00353 kg CO2e / tonne.km
航空貨物、短距離、放射強制力を含む (Air freight, short-haul, with radiative forcing) — 1.27835 kg CO2e / tonne.km
航空貨物、長距離・国際、放射強制力を含む (Air freight, long-haul or international, with radiative forcing) — 0.89939 kg CO2e / tonne.km
よくある質問
輸送のCO₂排出量の計算式は?
輸送重量(トン)× その区間の輸送距離(km)× 排出原単位(kg CO₂e/トンキロ)。前の2つを掛けたものがトンキロです。複数のモードを使う輸送は区間ごとにそれぞれの係数で計算して合計し、1つの係数を全区間に使わないでください。
このツールの結果は省エネ法の定期報告に使えますか?
使えません。省エネ法の荷主の報告は、同法の定める燃料法・燃費法・改良トンキロ法で算定します。このツールは英国DESNZの排出原単位(kg CO₂e/トンキロ)を掛ける方式で、取引先への回答やScope 3の概算、輸送手段の比較に向いたものです。
トレーラーと単車のトラックで、そんなに違うのですか?
DESNZ 2026では、トラクタ・トレーラー(非冷凍、平均積載)が0.07926、総重量17トン超の単車が0.17256 kg CO₂e/トンキロで、約2.2倍の差があります。このツールの単車の行は全サイズ平均の0.19947だけなので、大型の単車では約16%高めに出ます。文章に車種を書くと、より適切な行が選ばれます。
WTWはTTWよりどれくらい大きい?
DESNZ 2026では、トラクタ・トレーラーのTTWが0.07926、WTTが0.01823で、WTWは0.09749(+23.0%)。鉄道は+26.8%、平均的なコンテナ船は+22.6%です。ISO 14083とGLEC FrameworkはWTWで報告するので、範囲の違う数字は比べられません。
欧州向けに鉄鋼製品を輸出しています。CBAMの申告に輸送の排出は必要ですか?
必要ありません。CBAMの内包排出量は生産工程の排出で、欧州委員会のガイダンス文書第3号(2026年8月)は拠点間の輸送の排出を含まないと明記しています。輸入者が求めるのは工場単位の監視データです。輸送の排出量を別に聞かれた場合、それはScope 3の質問です。
長距離フェリーへのモーダルシフトの効果を、このツールで示せますか?
注意が必要です。旅客も乗せるフェリーはDESNZではRoPaxの行(0.37612)に当たりますが、このツールにはRoPaxの行がなく、平均的なRoRo船(0.05158)で計算されるため約7分の1に小さく出ます。しかもDESNZの値は英国の平均です。国内航路の効果を示すときは、船社の実績データを使ってください。
距離を書かなくても計算できますか?
できます。距離が書かれていなければ、モデルが地点間の距離を推計し、その行に推計値と表示します。ルート検索の測定ではないので、対外的に使う場合は実際の運行記録や道路距離に置き換えてください。重量がない場合は計算せず、不足項目として示します。
この結果をそのまま開示に使えますか?
おすすめしません。業界平均の係数、TTWの範囲、空車回送なし、積載率の測定なしで、ISO 14083に適合した算定でもありません。洗い出しや比較、調査票への一次回答には使えますが、保証を受ける排出量は燃料データや運送会社の実測データで算定してください。
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